生月いけづき)” の例文
これは生月いけづき駿三という近頃売り出した「テアトル築地」の新劇俳優、貴公子揃いの中でも特別上等の美男、本当に水も垂れそうな男振りです。
古城の真昼 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
柿色の篠懸すずかけに初夏の風をなびかせて、最上川の緑を縫った棧道をさかのぼり、陸奥むつの藤原領へ越える峠の一夜、足をとどめた生月いけづきの村の方からくる源遠き峡水であるから
姫柚子の讃 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
生月いけづき磨墨するすみ、漢の赤兎目せきとめもこれまでであろうと思われるような、威風堂々たる逸物であったが、岡郷介は驚きもせずひらりとばかりまたがるとタッタッタッタッと馬場を廻る。
郷介法師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
名馬生月いけづきを厩のうしろに牽き出して洗足さしてゐる。
佐々木高綱 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)