狭隘せせこま)” の例文
旧字:狹隘
およそその釈迦堂はラサ府の図面にも記されてある通り、三階造りの大伽藍だいがらんですがほとんど詰切つめきれない位集まる。その時の狭隘せせこましい事というたらたまらんです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
何だか籠のような狭隘せせこましい処から、茫々と広い明るい空のような処へ放されて飛んで行くようで、何となく心臓の締るような気もするが、又何処かのんびりと、急に脊丈が延びたような気もする。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
奥の部屋へ案内されたお種の周囲まわりには、三吉夫婦を始め、子供等がめずらしそうに集った。お種は、狭隘せせこましい都会の中央まんなかから、水車の音の聞えるような処へ移って、弟等と一緒に成れたことを喜んだ。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)