無花果いちゞく)” の例文
車も歳月の力と人の力とにらされて、繩が辛而やつとはまツてゐる位だ。井戸の傍に大株おほかぶ無花果いちゞくがコンモリとしてゐる。馬鹿に好く葉がしげツてゐるので、其の鮮麗せんれい緑色みどりいろが、むし暗然あんぜんとして毒々どく/\しい。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)