濃茶こいちゃ)” の例文
そして、濃茶こいちゃの茶碗が、太閤から、順に呑み廻しに移ってくるうちに、刑部は、その茶を一唇ひとくちふくみながら、たいへんな粗相をしてしまった。
大谷刑部 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その下で、紫や紅の縮緬の袱紗ふくさを帯から三角形に垂らした娘たちが、敷居や畳の条目すじめを見詰めながら、濃茶こいちゃの泡の耀かがやいている大きな鉢を私の前に運んで来てくれた。
洋灯 (新字新仮名) / 横光利一(著)
柄糸つかいと濃茶こいちゃでございます、つばは伏見の金家かねいえの作で山水につりをしてる人物が出て居ります、鞘は蝋色ろいろでございまして、小柄こづかは浪人中困りまして払いましたが、中身は彦四郎貞宗でございます
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)