澹乎たんこ)” の例文
もし悟るといふことを全然悟らざるといふ事に比ぶれば、多少は静平にして澹乎たんこたる妙味ありといへども、是も一種の階級のみ、人間は遂に、多く弁ぜざれば多く黙し、多く泣かざれば多く笑ひ
我牢獄 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
玄々不識のうちにわれは「我」を失ふなり。而して我もすべての物も一に帰し、広大なる一が凡てを占領す。無差別となり、虚無となり、糢糊もことして踪跡そうせきすべからざる者となるなり。澹乎たんこたり、廖廓れうくわくたり。
松島に於て芭蕉翁を読む (新字旧仮名) / 北村透谷(著)