漣波さゞなみ)” の例文
車中から偶然ふと見る湖岸に漣波さゞなみが立つて赤腹といふ小魚が群騷いでゐる。産卵のために雌魚雄魚が夢中になつてゐるのである。古い語で「クキル」とこれをいふ。
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
私邸に起臥しては朝暮衣食いゝしの獄に繋がれ、禁庭に出入しては年月名利のあなに墜ち、小川の水の流るゝ如くに妄想の漣波さゞなみ絶ゆるひまなく、枯野の萱の燃ゆらむやうに煩悩の火燄ほのほ時あつて閃めき
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)