溝口みぞのくち)” の例文
多摩川たまがわ二子ふたこの渡しをわたって少しばかり行くと溝口みぞのくちという宿場がある。その中ほどに亀屋かめやという旅人宿はたごやがある。
忘れえぬ人々 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
春先とはいえ、寒い寒いみぞれまじりの風が広い武蔵野むさしのを荒れに荒れて終夜よもすがらくら溝口みぞのくちの町の上をほえ狂った。
忘れえぬ人々 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
大津はゆえあって東北のある地方に住まっていた。溝口みぞのくち旅宿やどで初めてあった秋山との交際は全く絶えた。ちょうど、大津が溝口に泊まった時の時候であったが、雨の降る晩のこと。
忘れえぬ人々 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)