湿声うるみごゑ)” の例文
旧字:濕聲
二人は、何といふ事もなく、もう湿声うるみごゑになつて、断々きれぎれに語りながら、他所よそながら家々に別れを告げようと、五六町しかない村を、南から北へ、北から南へ、幾度となく手を取合つて吟行さまようた。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)