海部アマ)” の例文
亀卜の神にして、壱岐の海部アマ卜部ウラベの祀つた亀津比女が何故祝詞と関係をもつかと言ふ問ひは、祝詞と占ひとの交渉の説明を求めることになる。
国文学の発生(第二稿) (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
其外、唯のより百姓があり、町人があり、海部アマがありしますが、一触ヒトフレ・一字の親しみは、非常なものです。御館の下の村でも、御館の主の外は、平等であつた。
雪の島:熊本利平氏に寄す (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
海部アマの浄瑠璃、山部の小唄。即前者は、平安期の末まで、長い叙事詩を持ち歩き、後者は早く奈良朝又は其前にすら短歌を盛んに携行したものと見られるのである。
此意味において、古代日本民族の中心となつてゐた邑落に対して、海部アマ或は山人ヤマビトの住みかと言ふものが、多くは指顧する事の出来る様な近い距離に、構へられる様にもなつた。
此静かな目は、海部アマや、寄百姓ヨリビヤクシヤウの心理をつきとめても、出て来るものではないだらう。
雪の島:熊本利平氏に寄す (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
顕に見えてゐる事実を挙げると、安曇連の祖大浜宿禰が、諸地方の海部アマの訕※(さはめき?)を平げた本縁によつて、海部を管理する家筋となつた。其で、海部の宰と称へたといふ。
御饌ミケクニ 野島の海部アマの船にしあるらし(万葉巻六)
叙景詩の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)