活字引いきじびき)” の例文
とりわけこの近藤相模守茂郷は三十一の時に大目附へ召し出されて、七十七歳まで勤め続けて来た殿中の活字引いきじびきである。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
昨日亡くなつた文学博士星野恒氏は、国史の事にかけたら活字引いきじびきと言はれる程、物覚えのいので聞えた人であつた。
演説の方なら十時間でも一気呵成かせいだが、文章となると考えばかりが先走って困るんだ。おまけに唯一の参考書類兼活字引いきじびきともいうべき友吉おやじが居ないんだからね。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
わずかにこの活字引いきじびきと写字器械とを製造するにとどまりて、世に無用の人物を増したるのみ。
文明教育論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
活字引いきじびきになってみたところで一向つまりませんな、活字引はまだいいけれども、腐れ儒者となった日には手もつけられません、学問は実地に活用しなければつまらねえんでございます。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
こうしておけば、私はやがて活字引いきじびきとして皆から重宝がられます。