法水のりみず)” の例文
「いや、あの男はもっと他に知っている事があるんだぜ」検事はそう云って法水のりみずの言葉を遮ったが、法水は無雑作に頷いたのみで
後光殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
あの緊密な包囲形をどう潜り抜けたものか、また伸子が犯人で、法水のりみずの機智から発した包囲を悟り、絶体絶命の措置そちに出たものであろうか……。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
ところが、法水のりみずはすぐ鼻先の拱廊そでろうかへは行かずに、円廊を迂回して、礼拝堂の円蓋ドームに接している鐘楼階段の下に立った。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
そう云ってから法水のりみずは、唖然とした検事を尻眼にかけて立ち上り、書棚から一冊の報告書めいた綴りを抜き出した。そして、それを卓上に置き、続けた。
夢殿殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
が、庁内きっての老練家だったし、ことに毒物鑑識にかけては、その方面の著述を五、六種持っているというほどで、無論法水のりみずとも充分熟知の間柄だった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
法水のりみずはしばらくそれを嗅いでいたが、やがて彼の眼に、っとりと魅せられたような色がうかび上がってきた。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
法水のりみずの楽屋は、大河に面していて、遠見に星空をのぞかせ、白い窓掛が、帆のように微風をはらんでいた。
オフェリヤ殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
以上のとおり読み終ると、法水のりみず麟太郎りんたろうは眼前の里虹を見た。彼は今日、めずらしく渋い服装なりをしている。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
その顔は、また不思議なほどの無表情で、秘密っぽい、法水のりみずの言葉にも反響こだま一つ戻ってはこないのだ。やがて、自失から醒めたように、正確な調子で問いかえした。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
その夜法水のりみずに三つの方面から情報が集まった。一つは法医学教室で——創傷の成因では法水の推定が悉く裏書され、絶命時刻も七時半から九時迄と云うのに変りない事。
後光殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
法水のりみず君、分った、やっと分ったよ。傍線アンダーラインをつけたのは、やはりウルリーケだったのだ」
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
ああ法水のりみず様、申す迄もなく終局には、この真理中の真理が大焔光明と化して、十方世界に無遍の震動を起すに相違御座いませんけれども……、まずそれに先き立って、貴方様の卓越した推理法に依り
夢殿殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)