沈金彫ちんきんぼり)” の例文
そして、日光に目を慣らしてから、改めて、その矢骨をズーと眺め廻していると、やじり二寸ほど上がったところに、沈金彫ちんきんぼりのみのような細字。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
買ふうちやがて名代の蕎麥を持ちいだす信濃路一体に輪嶋塗わじまぬり沈金彫ちんきんぼりの膳椀多しこれ能登よりの行商ありて賣り行くならん大きなる黒椀に蕎麥を山と盛りつゆ
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
というなあ、無銘の方の小柄こづかには、弦之丞のしるしと聞いた三日月紋の切銘きりめいがあり、もう一腰の新藤五の古いさやには、甲賀世阿弥よあみという細字さいじ沈金彫ちんきんぼりに埋めこんでありました。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)