永劫とこしえ)” の例文
もう、彼女のすすり泣きは、永劫とこしえにやんでいた。——っ伏した黒髪は、血しおの中へ、べっとりと乱れ、手はかたく懐剣かいけんの柄を握っていたのである。
死んだ千鳥 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
天地あめつち永劫とこしえ、万象も春秋に、そのすがたをかえてこそ、生命も久し。——そのあめつちの心をもて大きく申さば、このたびのこととて、めでたしといえぬこともない。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ねがわくは丞相の軍が、よく彼を帰服せしめて、恩を感じ、徳になつき、蜀軍が都へ引き揚げた後も、永劫とこしえに王化はあとにのこって、二度とそむくことのないようにありたいものと存じます
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)