水掻みずか)” の例文
ともかくも船と陸上との僅かな水面ならば、水掻みずかきの有無にはよらず、たしかに鼠は泳いで渡っているのである。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
説法の印を結ぶ手だけをとって見ても、壁画の手の力強い確かな描写に対して、水掻みずかきのついているこの画像の手は、弱々しい、曖昧な描写だと言ってよい。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
ではまたどういう動物かと言えば、頭に短い毛のあるのはもちろん、手足に水掻みずかきのついていることも「水虎考略すいここうりゃく」などに出ているのと著しい違いはありません。
河童 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
もちろん大きい雄の河童はたちまち小さい河童をつかまえ、往来のまん中へねじ伏せました。小さい河童は水掻みずかきのある手に二三度くうをつかんだなり、とうとう死んでしまいました。
河童 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
大きさいたちほどもあり、足の指には水掻みずかきがあったともいうのは、一部は浜の者が打ち殺しもしたからかと思うが、後にはてんのごときけものが現われて、追々にこれを退治し尽したというのは
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)