氏上うじのかみ)” の例文
若くから氏上うじのかみで、数十の一族や、日本国中数万の氏人から立てられて来た家持も、じっとむこうていると、その静かな威に、圧せられるような気がして来る。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
後鳥羽院と実朝、この組みあわせの上にのみ、『万葉』以前の天皇と氏上うじのかみたちとの応和にも似通った、志気たかき歌の生れうる地盤がのこされていたのである。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
氏のおきての前には、氏上うじのかみたる人の考えをすら、否みとおす事もあるうばたちであった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
その点に、上古の天皇と氏上うじのかみとの対面の様子が彷彿ほうふつするのである。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
南家で持って居た藤原の氏上うじのかみ職が、兄の家から、弟仲麻呂—押勝—の方へ移ろうとしている。来年か、再来年さらいねんの枚岡祭りに、参向する氏人の長者は、自然かの大師のほか、人がなくなって居る。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)