比奈ひな)” の例文
比奈ひなは六彌の伜の皆吉で、小さい時から女姿で育ち、自由自在に女にも男にもなれるといふ重寳な野郎だが、人間は恐ろしく太いよ。
銭形平次捕物控:239 群盗 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
比奈ひなが世話をしてゐる越中屋の金六は、八五郎が調べたところでは、間違ひもなく眞物の病人だといふのが、二つの事件の違ひでもあります。
銭形平次捕物控:239 群盗 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
「お前が、あのお比奈ひなといふ娘の顏を見たい樣子だつたから、たいした用事でもない用事を頼んだのさ。誰が病人のへその穴を覗けなんて言ふものか」
銭形平次捕物控:239 群盗 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
私の娘の比奈ひなと——その許婚で私の門弟、こゝにゐる蔦井金三郎が、私の歎きを見るに見兼ね、私に代つて、その五點の僞作を取戻さうとしたので御座るよ。
何も彼も事實を知つてゐる筈の小間使ひの比奈ひなは、どう責め問はれてもぐわんとして口を割らず、平次もさすがに持て餘して、主人の旗野丹後守と用人の久保木桂馬に一切の事情を打ち明け
私共は腹違いの兄妹で、私はさん之助、妹はお比奈ひなと申します。
銭形平次捕物控:239 群盗 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「まだ小間使の比奈ひなと申すのがゐる筈だが——」