母者人ははじゃひと)” の例文
「ウーム、これは名器だ。この笛を捨子に添えてあったといえば、そなたのてて母者人ははじゃひとも、およそ人がらがわかる気がする」
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
太郎は母者人ははじゃひとの乳房にもみずからすすんでしゃぶりつくようなことはなく、母者人のふところの中にいて口をたいぎそうにあけたまま乳房の口への接触をいつまででも待っていた。
ロマネスク (新字新仮名) / 太宰治(著)
「この冬は、例のない寒さと覚えましたが、母者人ははじゃひとには、思いのほかお元気のようで」
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「亡き母者人ははじゃひとに連れられて、嵯峨さがの清涼寺へよう詣りました。中河の上人しょうにんとも、お心やすうござります。先頃、黒谷へ行って、法然房源空ほうねんぼうげんくうという若い坊さまのはなしも聴いたりしました」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「わしのいう第一の恋人とは、母者人ははじゃひとのことよ。わからんか」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「母上だな。母者人ははじゃひとだな。……あの、前に参るお駕籠が」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「開戦の前に、何とか、母者人ははじゃひとのお身をこっちへ——」
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
するとまもなくお前の母者人ははじゃひとが重病にかかった。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あ。こちらが貴公の母者人ははじゃひとか」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)