殿舎でんしゃ)” の例文
鎌倉じゅうの殿舎でんしゃ、諸屋敷、寺院、町屋のすべてを薪木たきぎとし、四方から蒸し殺しに焼き亡ぼそうとするものらしい。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
花世を二階の殿舎でんしゃに追いあげ、食事も自分で運んで行くという念の入った用心をしていたが、思春の情はなにものの力でもおさえることのできない人性にんしょうの必然であって
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
六波羅殿舎でんしゃの大屋根は墨をいて、内苑のかがりはチロチロ衰えかけ、有明けの黒白あいろもなお、さだかでなかった。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
花世を殿舎でんしゃの二階に追いあげ、食事も自分で運んで行くくらいに用心していたが、思春の情はなにものの力でもさえぎることのできない人性の必然であって、そのほうを始末するのでなければ
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)