死物狂しにものぐるひ)” の例文
何でも相手の銃先つゝさきからのがれたい一心で、死物狂しにものぐるひに踠いてゐるうち、古い柳の根を発見めつけて、それにすがつてやつとこさであがる事が出来た。
そして頭の上、さう、ちやうど私の寢室の眞上まうへに部屋に、今私はもがき爭ふやうな音——その物音から察すると死物狂しにものぐるひのものらしかつた——を聽いた。
さあそれだけ穴が大きく成りましたものですから、いよいよ為方御座いません、今度はどうか、今度はどうかで、もうさう成つては私も死物狂しにものぐるひで、無理の中から無理を致して
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
もしイングラム孃が善良な、高尚な女の人で、力、熱、深切、心といふものを持つてゐるのだつたら、私は二匹の虎——嫉妬と絶望とを相手に死物狂しにものぐるひの爭鬪をしたことであらう。