ほどもなく、この人々も、小田原おだわらの人数も、甲州本街道こうしゅうほんかいどう迂回うかいして、岩殿山いわどのやま武田家滅亡たけだけめつぼうのあとをとむらいながら、御岳みたけへ、御岳へ、と近づいていった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また浪人風ろうにんふう山県蔦之助やまがたつたのすけ、六姿すがた龍太郎りゅうたろう、わけても恵林寺えりんじ弟子僧でしそう加賀見忍剣かがみにんけんと申すものは、武田家滅亡たけだけめつぼういらい、寸時すんじもおそばをはなれることなくおつきそい申しておる忠節ちゅうせつな男……
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)