杞人きひと)” の例文
愚かなるわれら杞人きひと後裔こうえいから見れば、ひそかに垣根かきねの外に忍び寄るとら獅子ししの大群を忘れて油虫やねずみを追い駆け回し
時事雑感 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
それかといって神経衰弱にかかった杞人きひとでない限り、いつ来るかもわからない「審判の日」を気にしてその時の予算までを今日の計画の中に組み込むわけにも行かない。
ロプ・ノールその他 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
杞人きひとうれいとはちょうどこういう取り越し苦労をさしていうものであろうと思われる。
俳諧の本質的概論 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)