朽葉くちは)” の例文
うす暗い部屋の隅の、朽葉くちは色の長椅子に、白い薄紗ダンテールの服に朱鷺とき色のリボンの帯をしめた十七、八の少女が、靴の爪さきをそろえて、たいへん典雅なようすで掛けている。
そして一日々々と、朽葉くちは色の花園がよみがへつて、青々あを/\となつてゆくのを見ると、夜「希望」がそこを横ぎるのだと云ふ考へが浮かんだ。さうして、一朝毎に、より美しい彼女の足跡を殘していつた。
何しろ誰もはいったことのない山の森で、昼でさえその中はまっ暗なほどおい茂っていて、枯枝かれえだ朽葉くちはの積もり積もった上に、いばらかずらがはい廻っていて、いくら象でもなかなか上って行けませんでした。
夢の卵 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)