木之本きのもと)” の例文
「天神山のすそ。椿坂。あのあたりには、柴田の先鋒がだいぶおる。木之本きのもと、今市、坂口辺にも、大部隊がとどまりおると申す。眠るにも油断をすまいぞ」
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
木之本きのもと方面の空——先刻より赤々とみえ、不審と存じ、東野山近くまで、物見をつかわしましたるところ」
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
不幸な子供のたましいをとむらいながら、可愛御堂かわいみどう堂守どうもり生涯しょうがいをおわろうと思っていた菊村宮内きくむらくないも、むかしの主人であり、ふるさとの兵である北国勢ほっこくぜいが、すぐむこぎし木之本きのもとでやぶれ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
爾余じよの者どもは一散に、長浜へと急ぎに急ぎ、城内の留守居とも力をあわせて、町の年寄、村々の百姓に告げ渡し、われらの通る途々に、木之本きのもとまで隙間もなく、兵糧を並べ置けと申せ。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)