朝貌あさがほ)” の例文
母が答へるいとまのない中に父は足早に家の方へ行つてしまひ私は朝貌あさがほつるを手に持つたなりで惘然ぼんやりとあとを見送つて居り升た。
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
菅茶山の朝貌あさがほの話は、流暢な語気が殆どトリヰアルに近い所まで到つてゐる。想ふに茶山は平素語を秤盤しようはんのぼせて後に、口に発する如き人ではなかつただらう。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「はぎの花をばな葛花くずばな瞿麦なでしこの花、をみなへし又藤袴ふぢばかま朝貌あさがほの花」である。
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
あとは自分でさま/\工夫を凝らして見憎処みにくいところのない様に朝貌あさがほつるをあちらこちらへはせ升た。
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)