時代ころ)” の例文
この時代ころのお茶の水といえば、樹木と藪地と渓谷たにと川とで、形成かたちづくられた別天地で、都会の中の森林地帯であった。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その時代ころは又、村に相応な旅籠屋はたごやも三四軒あり、俥も十輛近くあつた。荷馬車と駄馬は家毎の様に置かれ、畑仕事は女の内職の様に閑却されて、旅人対手あひての渡世だけに収入みいりも多く人気も立つてゐた。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)