明晩あす)” の例文
だが、明晩あすは——。その明晩も、かならず土佐沖海面から始まる。すると、ゲートルだ、雑嚢だ、靴だ、すべての用意が闇のなかから飛ついて来るし、逃亡の路は正確に横はつてゐた。
壊滅の序曲 (新字旧仮名) / 原民喜(著)
風呂場で水を浴び、台所の椅子に腰を下ろすと、はじめて正三は人心地ひとごこちにかえるようであった。——今夜の巻も終った。だが、明晩あすは。——その明晩も、かならず土佐沖海面から始る。
壊滅の序曲 (新字新仮名) / 原民喜(著)