断片的きれぎれ)” の例文
旧字:斷片的
渡邊の耳元へ低声こごえささやいておいて、自分独りで二階へあがっていった、軈て低い春日の声に混って、主人あるじの太い声が断片的きれぎれに洩れて聞えてくる。
誘拐者 (新字新仮名) / 山下利三郎(著)
然しこのまずしい小さな野の村では、昔から盆踊ぼんおどりと云うものを知らぬ。一年中で一番好い水々みずみずしい大きな月があがっても、其れは断片的きれぎれに若者の歌をそそるばかりである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)