ゆるが)” の例文
忽ち喝采の聲は柱をゆるがさんとせり。こは未だその藝を讚むるならずして、先づ其色を稱ふるなり。所以者何ゆゑいかにといふに、彼は今わづかぢやうに上りて、未だ隻音せきおんをも發せざればなり。
水声が私達の枕をゆるがすやうにした。
耶馬渓の一夜 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
代りて場に上りしは、此曲の女主人公にして、これに扮せるは二八ばかりのをみななりき。色好む男の一瞥して心を動すべきしゝおき豐かに、なざし燃ゆる如くなれば、喝采の聲はいへゆるがせり。
我聲の威力、その幅員は曲の末解に至りて強さと大さとを加へき。我曲は能く衆人を感動せしめき。我が卓上の物を取りてポツジヨに交付し、これに救助の事を托せしときは喝采の聲いへゆるがしたり。