抽出ぬきんで)” の例文
もとより、われは一握り程の碌米ろくまいの為に、忠勤を抽出ぬきんでんとて武芸、学問を出精せるに非ず。半面鬼相にもあれ、何にもあれ。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
秀た額、角度かど立った頤、頬骨低く耳厚く、頸足えりあし長く肩丸く、身長せいの高さ五尺七八寸、囲繞とりまいた群集に抽出ぬきんでている。垢付かぬ肌の清らかさは、手にも足にも充分現われ、神々しくさえ思われる。
南蛮秘話森右近丸 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その猪の鼻と言おう、中空なかぞら抽出ぬきんでた、きばの白いのは湖である。
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)