押太鼓おしだいこ)” の例文
砂けむりのなかに、押太鼓おしだいこのとどろきや貝の音がものすさまじく聞える。どうやら信玄の旗本がそのうしろにるようだった。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
元より野駈けの軽装だし、軍馬の数も少ないが、やがて貝の音に兵が揃い、押太鼓おしだいこがとどろくと、両岸の人数が、どっと河の中でぶつかった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
兵法とは押太鼓おしだいこうち鳴らして敵へかかるときだけのものではない。親のこころ子しらずといったのはその辺の微妙にある。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こうして着々と、まっ黒に、地を這う雲かのような甲軍二万七千余の兵は、押太鼓おしだいこを天地にとどろかせながら、祝田いわいだ刑部おさかべ引佐川いなさがわと迫って来た。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
同時に、茂山一帯の陣地では、かかがね押太鼓おしだいこが乱打されていた。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)