抱擁だきし)” の例文
別に丑之助に未練を残すでも何でもないが、唯もう悲しさが一時に胸を充たしたので、お定は矢庭に両手で力の限り男を抱擁だきしめた。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
抱擁だきしめられたとき昼間ひるま塩田えんでんが青く光り
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
この手が母を抱擁だきしめたのだ
別に丑之助に未練を殘すでも何でもないが、唯もう悲さが一時に胸を充たしたので、お定は矢庭に兩手で力の限り男を抱擁だきしめた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
抱擁だきしめつ。——『かなし。』とばかり。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
怎しても男を抱擁だきしめた手をゆるめず、夜明近い鶏の頻りに啼立てるまで、厩の馬のたてがみを振ふ音や、ゴト/\破目板を蹴る音を聞きながら、これといふ話もなかつたけれど
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)