折釘おりくぎ)” の例文
私は靴をぬいで、帽子とオオヴァ・コオトとを折釘おりくぎにかけて、玄関から一間ひとま置いた向うにある、書斎の唐紙からかみをあけました。
二つの手紙 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
宗助はまた本堂の仏壇の前を抜けて、囲炉裏いろりの切ってある昨日きのうの茶の間へ出た。そこには昨日の通り宜道の法衣ころも折釘おりくぎにかけてあった。そうして本人は勝手のかまどの前に蹲踞うずくまって、火をいていた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)