扁鵲へんじゃく)” の例文
「亡くなってから一刻も経っている、ふん、この病気には耆婆ぎばでも扁鵲へんじゃくでも手が出ない、さよう、すぐ納棺するんだな」
山椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
いよいよ定業じょうごうが満ちて今死ぬという時になったならばたとえ耆婆ぎば扁鵲へんじゃくといえども救うことは出来ないのである。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
扁鵲へんじゃくの言いけらく、よく死すべきものを活かすにあらず、よく活くべきものを活かしむるなり」
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
逆上とは読んで字のごとくかさにのぼるのである、この点に関してはゲーレンもパラセルサスも旧弊なる扁鵲へんじゃくも異議をとなうる者は一人もない。ただどこへかさにのぼるかが問題である。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼らの信仰によると病気は大抵悪魔、厄鬼、死霊等の害悪を加うるによるものであるから、まず祈祷の秘密法によって悪癘を払わなくては、たとい耆婆ぎば扁鵲へんじゃくの薬といえども決して利くものでない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
扁鵲へんじゃくもそう言っている、「越人えつじんよく起すべき者を知ってこれを起す」
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)