戯談口じょうだんぐち)” の例文
旧字:戲談口
ルピック夫人は、ほとんど戯談口じょうだんぐちをきかない。それでよその子供たちは、彼女のそばへ来ると用心をする。まず学校の先生程度に怖ろしいのである。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
一緒に飲んでいるものが利害関係のないのも彼れには心置きがなかった。彼れは酔うままに大きな声で戯談口じょうだんぐちをきいた。そういう時の彼れは大きな愚かな子供だった。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
平日ふだんならば南蛮なんばん和尚といえる諢名あだなを呼びて戯談口じょうだんぐちきき合うべき間なれど、本堂建立中朝夕ちょうせき顔を見しよりおのずとれし馴染なじみも今は薄くなりたる上、使僧らしゅう威儀をつくろいて
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
が、田川夫妻が自分と反対のげん籐椅子とういすに腰かけて、世辞世辞しく近寄って来る同船者と何か戯談口じょうだんぐちでもきいているとひとりで決めると、安心でもしたように幻想はまたかの若者にかえって行った。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)