愚魯おろか)” の例文
堪忍して下され口がきけませぬ、十兵衞には口がきけませぬ、こ、こ、此通り、あゝ有り難うござりまする、と愚魯おろかしくもまた真実まことに唯平伏ひれふして泣き居たり。
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
源太は腹に戸締の無きほど愚魯おろかならざれば、猪口をしつけ高笑ひし、何を云ひ出した清吉、寝惚るな我の前だは、三の切を出しても初まらぬぞ、其手で女でも口説きやれ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
木片の薬師、銅塊どうくわい弥陀みだは、皆これ我が心を呼ぶの設け、あがめ尊まぬは烏滸をこなるべく、高野の蘭若らんにや比叡ひえ仏刹ぶつさつ、いづれか道の念を励まさゞらむ、参りいたらざるは愚魯おろかなるべし。
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)