想出おもいだ)” の例文
... 玉子の白身しろみでアクを取りました」と聞いて大原が先日の事を想出おもいだし「今日は玉子のからでなくって白身をお使いですか、非常の御奮発ですな」
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
始終使にばかり行っても居なかったろうが、私は勘ちゃんの事を憶出すと、何故だかいつも其使に行く姿を想出おもいだす。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
高瀬の奥で喜作が猿の皮を無雑作にくびに巻き付けた姿で、獲物えものの羚羊の皮の枠張わくばりに余念なかった姿を想出おもいだして
案内人風景 (新字新仮名) / 百瀬慎太郎黒部溯郎(著)
然うして一二年苦しんでいるうちに、どうやら曲りなりにも一本立が出来るようになると、急に此前奥さんに断られた時の無念を想出おもいだして、夫からは根岸のお宅へも無沙汰ぶさたになった。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)