悪足わるあし)” の例文
旧字:惡足
女主人と同じように彼女の母親もそんな悪足わるあしのような男がついているのをひどく心配して二人の仲を切ろうとしていろいろ気をんでいた。
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
こゝのうちの御子息が悪足わるあしになって居るか何うだか知らねえが、どういう訳で、誰に沙汰をしてお前の処の娘にしたか、それを承わりたいので
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
悪足わるあし間夫まぶの輩は傘風呂敷を借りて返さざるの徒に等し。唯困ったものなり。
偏奇館漫録 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
先刻さっきから一人で浮かれていた私は、真面目に心細くなって来た。そうして腹の中で、斯ういう境涯の女にはよくあり勝ちな、悪足わるあしでもあることと直ぐ察したから
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
此のお子が七歳の時われが前橋の藤本に抱えられて小瀧と云ってる時分、茂之助さんが大金を出して身請えすると、松五郎てえ悪足わるあしが有って、よんどころなく縁を切ったものゝ、あゝ口惜くちおしいと男の未練で
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)