悪党わる)” の例文
旧字:惡黨
と原文に三嶋安という東海道喰い詰めの悪党わるですからきゝません、いきなり息杖をっ取り、左右からブーンと風をまいて打って掛る
それからあの女は金もうけが好きで、ひどい高利で貸しつけてはどしどしやしていることも、情け容赦もない悪党わるの詐欺師だって話も聞いていた。
ハンティングを冠った蝙蝠安こうもりやすという恰好、薄寒そうな双子の素あわせ、三尺を前下りに、麻裏を突っかけた、それにしても、恐ろしく安直な悪党わる、眼だけは不思議にギョロリと光ります。
悪人の娘 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「でも健ちゃんなんぞは顔が顔だからね。そうしみったれた真似まねも出来まいし、それにあの島田ってじいさんが、ただの爺さんと違って、あの通りの悪党わるだから、百円位仕方がないだろうよ」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と云うのも聞かず、原文に三島安という東海道喰詰の悪党わるゆえ、左右からつか/\と進み寄り、物をも云わず一人が正孝の胸倉を取り、一人が伊之助の袖を押えたから、正孝も伊之助も真青まっさおに成る。