悟道ごどう)” の例文
ところがその聡明霊利が悟道ごどうの邪魔になって、いつまでっても道に入れなかったと兄さんは語りました。さとりを知らない私にもこの意味はよく通じます。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一方、昭青年は早く機会を見付けて何とか始末をしなくては、悟道ごどうさまたげにもなるし、姫のためにもよくない。
鯉魚 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
峻厳である一方悟道ごどうの用心が慎重である。いたずら喝棒かつぼうなんぞと、芝居めいた振舞ふるまいにも出でない。そこにも好感が持たれる。殊にこの『正法眼蔵』は和文で物してある。
ともいえる悟道ごどうに近い妙生みょうしょうを身にもつようになったのは、彼自身がその戦陣軍務の多忙と健康の必要から考え出したところの、ひとつの座右銘ざうめいから得たものであった。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これ利休が職分の深いたしなみから、人生の悟道ごどう(さとり)に入った証拠であります。憂き辛い世の中も、無心で向えば何ともないという妙諦に茶の経験から入ったのであります。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)