恩讐おんしゅう)” の例文
理由もいわずに弦之丞が、せっかく手に入れた秘帖の一端を裂いて老人へ贈ったのは、それにむくう武道の情義であった。いいかえれば、恩讐おんしゅうを超えた心と心の答礼だった。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今は、恩讐おんしゅうを越えた、晴れやかな表情で、妓王は仏の手をとって中へ導き入れた。