恒久こうきゅう)” の例文
鎌倉に恒久こうきゅう的な地盤を固めようとするにあろう。もし関東一円が直義方となったら尊氏の中央の位置は浮いてしまう。一大事である。尊氏はめずらしく慌てたのだった。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其処そこに自然主義の恒久こうきゅうを認識してもらう方が彼らのために得策とくさくではなかろうかと思う。
イズムの功過 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その貴族らの性質に従って、ある所では世論がきわめて厳格であり、ある所では弛緩しかんしている。現今のごとき多数者の無秩序な跋扈ばっこも、黙々たる少数者の恒久こうきゅう的権威を、なんら変じはしないであろう。
また平家の恒久こうきゅう的な利益もその中へ織りこまずにいられない入道であった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)