恋慕こいした)” の例文
旧字:戀慕
宮野邊源次郎と云って旗下はたもとの次男だが、其奴そいつが悪人で、萩原新三郎さんを恋慕こいしたった娘の親御おやご飯島平左衞門という旗下の奥様づきで来た女中で
良人おっとの後を恋慕こいしたい、石になったる松浦潟まつらがた領巾振山ひれふるやまかなしみも……」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
静子が殺人者であったにしろなかったにしろ、私はあれ程私を恋慕こいしたっていた可哀相な女を殺してしまったのだ。私は私のけちな道義の念を呪わずにはいられない。世に恋程強く美しいものがあろうか。
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)