心易立こころやすだて)” の例文
かう云ふと何かひどく偉がるやうで、聞辛ききづらいか知らんけれど、これは心易立こころやすだてに、全く奥底の無いところをお話するのだ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
懇意な若い青年が心易立こころやすだてに話し合う遠慮のない題目は、これまで二人の間に何度となく交換されたにもかかわらず、安井はここへ来て、息詰ったごとくに見えた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
唯今ただいま何します、どうも、貴下御免なさいましよ。主人が留守だもんですから、少姐ねえさんのお部屋でついお心易立こころやすだてにお炬燵こたを拝借して、続物を読んで頂いておりました処が、」
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
つい心易立こころやすだてから、浸々しみじみお礼も言はずにゐたけれど、狭山さん、私の心は、さうだつたの。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「お心易立こころやすだてなんでしょう、でもずるいんだよ。よっぽどそういおうかと思ったけれど、先生だというから、また、そんなことで悪く取って、お前が憎まれでもしちゃなるまいと思って、黙っていました。」
化鳥 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)