心天ところてん)” の例文
炎天に響く「氷やい氷」、蜜柑箱に仕入れた少々の氷を後生大事、「ところ天やてんや」と真鍮のお椀へ突いてくれる心天ところてん売り、これも声だけは冷やっこい。
明治世相百話 (新字新仮名) / 山本笑月(著)
まるで心天ところてんを流すよりも安々と女記者になりすました私は、汚れた緑のペンキも最早何でもなく思った。
放浪記(初出) (新字新仮名) / 林芙美子(著)
川岸縁に建つた危なつかしい店で、煎餅と駄菓子の外に、夏は心天ところてんも並べ、目自街道の馬子衆や、雜司ヶ谷詣りの善女人を相手に、細々と暮して居る樣子でした。