御釜おかま)” の例文
昔健ちゃんのあすびに来てくれた時分にゃ、随分しり端折ぱしょりで、それこそ御釜おかまの御尻まで洗ったもんだが、今じゃとてもそんな元気はありゃしない。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
すぐ下にはお苗代なわしろ御釜おかま火口湖がまっさおに光って白樺しらかばの林の中に見えるんだ。面白かったねい。みんなぐんぐんぐんぐん走っているんだ。すると頂上までの処にも一つ坂があるだろう。
風野又三郎 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
八の字の尾にちを命じたような髯を見るや否や御多角おたかくはいきなり台所へ引き戻して、ハハハハと御釜おかまふたへ身をもたして笑った。主人は平気なものである。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しまいにこっちも腹が立ったから、御気の毒さま、御金はありませんが、品物で好ければ、御鍋おなべでも御釜おかまでも持ってって下さいっていったらね、じゃ釜を持ってくっていうんだよ。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)