御荷鉾みかぼ)” の例文
裏秩父と、御荷鉾みかぼとがはさむ渓谷には、深い神流川が流れている。秩父古生層の洒麗さいれいな岩の間から、滴り落ちるこの川の水は、冷徹そのものである。
水の遍路 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
特に私の地方では俗に「御荷鉾みかぼ三束雨さんぞくあめ」と唱えて、恐ろしく雨足の早い大夕立の起ることが年に四、五回はある。
奥秩父の山旅日記 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
村から見られる山は東京には及びませんがなり多数で、男体、皇海すかい袈裟丸けさまる武尊ほたかを始め小野子、子持、榛名、浅間、妙義、荒船、御荷鉾みかぼ、秩父連山等は言うに及ばず
登山談義 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
日は御荷鉾みかぼ山の後に落ちて、其あたりの天は黄金色に輝き、それより地平線に沿うて東するに連れ、樺色桃色草色と色美しくぎ渡った夕暮の空に、紫と紺とを濁らぬ程に混ぜて
秩父の奥山 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
浅間と笠山との間に低く頭をもたげているのは、地質の上から名高くなった御荷鉾みかぼ山の連嶺である。凌雲閣から望むと西御荷鉾は笠山に隠れて、東御荷鉾の頂上から右の斜面へかけて見えるだけだ。
望岳都東京 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)