御能おのう)” の例文
あの江戸の方で上巳じょうみの御祝儀を申し上げるとか、御能おのう拝見を許されるとか、または両山の御霊屋おたまや参詣さんけいするとかのほかには、人質も同様に
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
これがまた在来の日本画だとか、御能おのうだとか、芝居の踊りだとかいうものには、非常に究屈きゅうくつな面倒なかたまった法則があって、動かすことが出来ないようになっております。
模倣と独立 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかし彼女には、そこの御能おのう見物や、美酒美女よりも、護国寺詣りのほうが、はるかに興味があったらしい。虚栄と、迷信と、綱吉にたいする盲愛ほど、彼女をとらえるものはなかった。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この論法からいうと、芸術家が昔の芸術を後世に伝えるために生きているというのも、不見識ふけんしきではあるが、やっぱり必要でしょう。ことにきゅう芝居や御能おのうなんかはいい例です。絵画にもそれがある。
無題 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)