御台様みだいさま)” の例文
(これしきな生活は、まだおれを満足さすものではない。いまにそなたも、御台様みだいさまと諸人から仰がれるようにしてやるぞ)
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なれども只今申し上げましたのはいずれもお側女そばめの方々ばかり。御台様みだいさまと申されますのは、前大納言のおんむすめ。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
大木戸の御前の御病気には、何かその、婦人が一切禁物だと申すことで、小間使が二人、先日宿許やどもとへ下げられました。御台様みだいさまも一間なる処に御籠おこもりの様子。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
妻子珍宝及王位、臨命終時不随者というので御釈迦様はすました者だけれど、なかなかそうは覚悟しても居ないから凡夫の御台様みだいさまや御姫様はさぞ泣きどおしで居られるであろう。
(新字新仮名) / 正岡子規(著)
御台様みだいさまを始め外の女房たちにも、可愛がられて居たやうでございます。
地獄変 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
華族様の御台様みだいさまを世話でお暮し遊ばすという御身分で、考えてみりゃお名もまや様で、夫人というのが奥様のことだといってみれば、何のことはない、大倭やまと文庫の、御台様さね。
清心庵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さ、御台様みだいさま、わたくしがこれを持っておりましたのは斯様な訳でござります
御台様みだいさまこゝにもう一つ差し上げる品がござります。———」
御台様みだいさま———」