後方しりえ)” の例文
が、いまだに姥の力が、彼に影響しているものと見え、足にも腕にも力がなく、後方しりえへドッと仆れてしまった。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
雪之丞は、老師のそうした言葉にもかかわらず、すぐに後方しりえに従うことがためらわれた。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
客は早くも、主人の後方しりえなる、品匣しなばこに目をつけて、『釣の御用意ですか。』
元日の釣 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
海道の合戦は、この日に始まり、交戦三日後には早やそこの矢矧やはぎ川も官軍二万の後方しりえにおかれていた。そして序戦にやぶれ去った足利方の先鋒せんぽう高ノ師泰もろやすは、鷺坂さぎさか(遠州見附の北)までなだれ退いて
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
後方しりえにいた蓬生が抱き止めた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)