律呂りつりょ)” の例文
これを宮商角徴羽きゅうしょうかくちうに分けてすべての音声を十五位に分類する、これを律呂りつりょという、十五位は十五声にして一声、一声にして全声なるものです。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
浦中応援隊は応援歌をうたった、手に手に持った赤い旗は波のごとく一起一伏して声調律呂りつりょはきちんきちんと揃う。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
ほとんど無駄事は云わなかった。精粋ばかりで物を云った。ちょうどさまざまの騒音の中から一筋清涼たる笛の音が律呂りつりょ正しく聞こえるようであった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
音楽の音はかすかではあるが美妙びみょう律呂りつりょを持っている。楽器は羯鼓かっこと笛らしい。かねの音も時々聞こえる。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
金剛語菩薩こんごうごぼさつ即ち無言語菩薩むごんごぼさつ、声明の奥義を極めんとならば、まず声なきの声を聞くべし、幸いにこの律呂りつりょの川の上に音なしの滝がある、音なしの滝にこもって、無音底の音を聞く気はないか」
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)